すんげーーー楽しく描いてて早く描きおわりたいけど描きおわってほしくないなあ! みたいなときってほんとうに楽しくてしかたがないんですが、おわって我にかえった時に、自分しか楽しんでねえぞ! って気持ちになるんです。あとの祭りです。だからひっそり懺悔。あれは赤実でやる意味があったのか…いや赤実じゃなかったら描かなかったからやっぱり赤実でよかったんだ。楽しかったです。
前のジャンルで車椅子の攻様のおはなしを書いたのですが、それに対して「欠損」タグがついたので、ああなるほどな、と腑に落ちたのでした。
グロはだめなんですが、精神的な欠損、ひととしてなにかが足りてない、っていうのがたまらなく好きなんだろうな、と。いや足りてないものなんていっぱいあるんですが、その足りてないところを補ってあまりある存在、というのに憧れてるのかもしれないです。
赤司は完璧超人って感じなんですけど、日常的な感情の機微とかはもう致命的なくらいに欠落してたらいいな、という願望。それを補って、それだけで飽き足らず包み込んでしまえるレオ姉。
なんですが、レオ姉自身もマイノリティなので、マジョリティ側からは「欠落している」と扱われる側、というのが。それを補える、というよりも、おそらくゼロにしてしまえるのが赤司なのでは、という考えのもと、小説を書いています。
そもそも「ある」とか「ない」とかなんぞや、というお話ですが、赤司くんは「あるのが当然」で、レオ姉は「ないのが当然」ていうのもいいなって、おもいます。
自分が持っていることに気づいていない、持っているのに持たざる者のフリをしてる。
話がすっとびます。自分はすごく、ダンスが苦手で、生きている間はもう一生避けていきたいくらい苦手なんですが、職場の行事で踊ることになりまして、それもセンターでして、ダンス覚えるためのDVDを作ってメンバーに配ったり衣装の造型やったり、若いから出来るでしょって言葉で全部持ってくんじゃねーよばかやろうwwwと思いながらも昨日やりきりました。
「やりたくない」「出来ない」「むり」っていってきたし、実際そうだとおもってたんですけど、やったらいけるじゃないですか、って気持ちになったのでした。
無理、できない、ってリミッターをつけてたのは自分だったので、腹をくくればなんとでもなるな、と思いました。いつも腹くくれば行動は早いですが。一生レベルで付き合いたくない出来事を終わらせたのは快挙だった。自分で自分を褒めておこう。
(でもまだよさこい踊りで炎天下で踊るのは無理です。倒れると仕事に差し支えるので。ひとが多いとこも苦手なので。そしてダンスエボリューション? は恥ずかしいから嫌です)
話を戻します。
『持っていないとおもっているひと』は、「みんな『持っている人』のほうが好きだし惹かれるんだ、私に見向きもしないんだ」みたいにおもうのかなあ、とおもって。
「もっていない」こと自体がものすごく個性だし、そもそもあるとかないとかどこが基準なのかっていったら、その人の中の物差しだったり、世間様の基準だったりするわけでしょうし。
足りないものがあるひとって、すごい取っ掛かりをくれてるんだとおもうのですね。それが見えている形ならなおさら。
パズルのピースを首から提げて、当てはまるひといませんか、みたいなふうな。パズルのピースは見えたり見えなかったりするの、人によっては。多分立体的なパズルで、一面だけなら合わさるひとはきっとそれなりにいて、成長過程で、すこしずつ削れたり盛り上がったりもして。あってたものが、合わなくなる日もきっと来るんです。
少しずつ面をあわせていくような、恋があればいいなーって。赤実で。
全然まったくどこも合わないピースも好きですけどね! むしろまったく合わさるところがないなんて宇宙人に出会ったみたいなモンで楽しいと思います。そういうふたりが、どこか一緒になるところをじわじわ見つけていくのとかも、いいなあ。付き合ってると似てくるっていいますし。癖がうつったり、ふとした時におなじ表情をするようになるのって素敵だなとおもいます。
目の前のひとは、おだやかにぼくを見ている。やわらかい瞳をしている。
「おはよう、征ちゃん」せいちゃん? ぼくのことか。
「おはよう。きみは誰」
ぼくはきみを知っている気がする。が、名前が分からないので、ただの既視感かもしれない。
「わたしは、実渕玲央。みぶち、れお。はじめまして、征ちゃん」
「はじめまして。ぼくは、赤司。赤司征十郎だ」
「ええ。よろしくね」
そう言って、目の前のひとはほほえんだ。
何度となく繰り返すはじめまして。彼が目を覚ますたびに、わたしは名前を名乗り、あいさつをする。
彼は忘れていく。恋をしたことも、愛したことも、いっしょにいたことも。きれいにどこかへわすれてしまう。
それがさびしくないかというとうそになる。わたしの存在を、かけらでもいいから記憶にとどめておいてよ。
そう思いながら、わたしは今日も、彼のそばにいる。あいさつから、恋をはじめる。いつかは、いつかはと願って。
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記憶をなくしてゆく赤司と恋をするレオ姉のはなし。毎朝赤司は恋に落ちて、レオ姉は毎日希望を捨てられずにいる。